SESに入社してから後悔した、という声は後を絶ちません。「やめとけ」と言われる理由は感情論ではなく、SESという業態の構造に起因しています。
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアを客先企業に常駐させて技術サービスを提供するビジネスモデルです。未経験OKの求人が多く、IT業界への入口として選ばれやすいですが、入ってから気づく構造的な問題があります。
この記事では、SESがなぜ年収が上がりにくくスキルが身につきにくいのかを構造から解説し、すでにSESにいる人の脱出ルートも整理します。
②客先評価が給与に反映されない構造上、3年間成果を出し続けても年収が上がらないケースが頻出する
③脱SESには在職中のスキル積み上げと転職エージェントの活用が現実的な最短ルート
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SESの平均年収と自社開発エンジニアとの差
まず数字から見ます。Geeklyの2024〜2025年の内定者データによると、SESエンジニアの平均年収は約408万円です。全ITエンジニアの平均年収537万円と比較すると、約130万円の差があります。
| エンジニアの種別 | 平均年収 |
|---|---|
| SESエンジニア | 約408万円 |
| 全ITエンジニア平均 | 約537万円 |
| 自社開発企業のエンジニア | 500〜700万円 |
| 社内SE(事業会社) | 500〜600万円 |
出典:Geekly『SESの平均年収とは?年収を上げる方法やキャリアパスを解説』
この差が生まれる理由はビジネス構造にあります。SES会社はエンジニアを客先に常駐させ、客先から受け取る「契約単価」の一部をエンジニアへの給与として支払います。契約単価が上がらない限り、現場でどれだけ成果を出しても給与に反映されません。
SESの仕組みと「やめとけ」と言われる構造的な理由
SESのビジネスモデルはシンプルです。SES会社がエンジニアを採用し、客先企業に常駐させ、技術サービスを提供します。SES会社は客先から契約単価を受け取り、エンジニアには給与を支払います。
この構造が、「やめとけ」と言われる根本的な原因です。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 給与が上がりにくい | 客先で高評価を得ても、SES会社への契約単価が上がらない限り給与に反映されない |
| スキルが身につきにくい | プロジェクトが変わるたびに担当業務がリセットされ、専門性が積み上がらない |
| キャリアが設計できない | どの現場に行くかはSES会社が決めるため、自分でキャリアをコントロールできない |
| 雇用が不安定 | プロジェクト終了・予算削減で突然契約が切れるリスクがある |
| 帰属意識が持ちにくい | 常駐先の社員でも自社の社員でもない「中間的な立場」が続く |
特に深刻なのは給与の問題です。客先から「この人は優秀だ」と評価されても、それがSES会社との契約単価の見直しにつながらない限り、給与に反映されません。同世代の自社開発エンジニアと100〜200万円の年収差が開くケースは珍しくありません。
SESに入って後悔しやすい人のパターン
SESに入って後悔するパターンには共通点があります。
最も多いのは、「未経験OKだったから」という理由だけで入社したケースです。SESは未経験者を採用しやすい構造ですが、その分スキルが身につく保証もありません。入社時のハードルの低さと、入社後のキャリア形成のしやすさは別の話です。
次に多いのは「IT業界に入れれば何でもいい」という動機のケースです。IT業界に入ることと、ITスキルで市場価値を上げることは別です。SESに入っただけでは、情報通信業の平均年収635万円には届きません。
| SESで詰まりやすいパターン | 3年後の現実 |
|---|---|
| 未経験OKだからという理由のみで入社 | スキルなし・年収350万台で停滞 |
| IT業界に入れれば何でもいいと思っていた | IT業界にいるのにITの恩恵を受けられない |
| 現場任せでスキルアップを期待していた | 習得スキルが運任せ・配置次第になる |
| 出口戦略を持たず数年が過ぎた | 転職市場での選択肢が年々減る |
SESでも生き残れる人・キャリアを作れる人の条件
SES全体が悪いわけではありません。SESの環境の中でもキャリアを作れている人には共通点があります。
業務時間外でも学習を継続しています。現場で使っている技術を深掘りしたり、現場では触れない技術を独学で補ったりしています。資格取得(AWS・基本情報技術者など)も積極的に進めています。
また、現場を選ぶ交渉を行っています。SES会社に「この技術が身につく現場に行かせてほしい」と意思表示する人は、何も言わない人より良い現場に配置されやすいです。
加えて、2〜3年でSESを出ることを最初から計画しています。SESはキャリアの入口として使い、専門スキルが身についた段階で自社開発企業・事業会社に転職する、という出口戦略を持っています。
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優良SESと悪質SESの見分け方
SESには優良企業も存在します。悪質なSESを避けるためのチェックポイントを整理します。
| チェックポイント | 優良SES | 悪質SES |
|---|---|---|
| 希望現場への配慮 | スキルアップできる現場を選んでくれる | 空いている現場に無条件で送り込む |
| スキルアップ支援 | 資格取得支援・研修制度がある | 自己学習は自己責任 |
| 契約単価の透明性 | 単価と給与の関係を説明してくれる | 単価を一切開示しない |
| キャリア面談の頻度 | 定期的にキャリア相談ができる | 配置して終わり |
| 常駐期間の上限 | 長期常駐を避ける方針がある | 同一現場に何年でも置き続ける |
面接時に「どのようにしてエンジニアのキャリア形成を支援していますか」「スキルアップできる現場への配置を希望できますか」と質問することで、会社の方針を事前に確認できます。
SESから脱出するための具体的なルート
SESからの脱出には、大きく2つのルートがあります。
ひとつ目は、SESにいながらスキルを積み上げて自社開発企業に転職するルートです。現職の業務経験+業務外の学習でポートフォリオを作り、1〜2年後に転職市場に出る方法です。SESでの実務経験は職歴として使えるため、完全未経験よりも選択肢が広がります。
ふたつ目は、ITスキルと並行してAIスキルを習得し、Web系・マーケ系の職種に転換するルートです。エンジニア職にこだわらず、Webマーケター・データアナリスト・ディレクターなどへのキャリアチェンジも選択肢です。
転職エージェントを使う際は、SES専門のエージェントではなく、自社開発・事業会社の求人を持つエージェントを選ぶことが重要です。UZUZ・ウズカレITはSESからの転職支援実績があり、SES以外の求人を多く保有しています。
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まとめ
SESはやめとけと言われる理由は、感情論ではなく構造にあります。客先評価が給与に反映されない仕組み、プロジェクトごとにリセットされるキャリア、自分でコントロールできない配置。これらは個人の努力で解決できる問題ではなく、SESというビジネスモデルの特性です。
SESエンジニアの平均年収408万円と自社開発エンジニアの500〜700万円の差は、スキルの差だけでなく構造の差から生まれています。SESに入ること自体が間違いではありませんが、出口戦略なしに数年を過ごすと、転職市場での選択肢が確実に狭まります。
在職中から学習・ポートフォリオ作成・転職活動の準備を並行して進めることが、SESから抜け出す現実的な方法です。動くなら早いほど選択肢が多いです。
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